美しい鰭の感想

スピッツのニューシングルが出たので感想をば。デジタルで買いました。

1.美しい鰭

話題のコナン映画の主題歌。まさかスピッツがコナンの映画の主題歌を唄う日が来るとはね。うつくしいひれ、と読みます。すしじゃないですよ。

映画の予告で流れていたサビ部分を聞いたらバラード風だったので、バラードはあんまりだなあと思っていたのですが、今回フルで聞いたら、いい意味で裏切られました。上のPVでイントロが流れてきたとき、なんか別の曲が挟まってるのかと思ったくらいです。ポップ寄りというか、最初の伴奏は「サンシャイン」を思わせ、Aメロはむしろ「YM71D」のようなちょっとキワモノっぽさもあり、このけだるい感じをコナンにぶつけてくるとは・・・って意表を突かれました。まあサビはやはりいつものスピッツらしいメロディラインだけど、ど真ん中ストレートの曲ではないと思う。

全編に「水」を思わせる単語がちりばめられており、緩やかに流れる川のような曲で、コナン映画で事件が解決した後に流れるEDとしてはぴったりだと思う。主題歌の話がきてから作った唄らしく、コナンファンたちは灰原哀のテーマだ!と騒いでるようですが、どうとでも解釈できる歌詞で、実際のところはあまり繋がりはないと思う。秘密守ってくれてありがとうねは確かに灰原っぽいが、その後の放っても大丈夫ってとこはオカシイしね。ともあれ、アルバムのキラーチューンに相応しい素晴らしい曲です。

2.祈りはきっと

今回、3曲とも朝の通勤電車で聞いてたのですが、正直オマケ程度に思ってたカップリング曲なのに・・・この2曲目のイントロが流れてきてカッと目が覚めた。Aメロでもういきなりやられました。こんなとんでもない名曲をシングルA面にもせずアルバムにも収録せず、B面曲にしてくるところがスピッツ。しかし今回は異常なくらい力が入っていて驚きました。

「さらさら」のような清涼感と、最後まで走り抜ける疾走感、これからの季節にぴったりの絶品。王道といえば美しい鰭よりもこっちなのかも。Aメロの「いろいろ」「すみずみ」「だめだめ」「ほのぼの」って韻踏み(っていうのか?)もなんだか可愛らしいし、ここのメロディが間奏で繰り返されるところもいい。歌詞はなんとなくウクライナ戦争を思わせるが…まあ例によってどうとでも解釈できるわな。3曲の中ではこれが一番好きかも。ほんと良すぎて意表を突かれました。

3.アケホノ

そしてこれもまた凄い、シングルやアルバムの表題曲になってもおかしくないくらいの出来、とにかく時間と手間をかけて作られてる。ギターソロもあり終盤も劇的な展開。いやこれカップリングなんですよね?アルバムに収録しないんですよね?

このアケホノはまさにアルバムを締める「アカネ」や「漣」や「ヤマブキ」のような感じでとにかくドラマチックな恋愛ソング。タイトル通り朝に聴きたい曲ですね。サビの強さは3曲の中で1番だと思う。コナンファンがこのシングル買って3曲を聞いてどう思うか分からないけど、B面曲のクオリティに驚くんじゃなかろうか。普段のシングルB面曲はちょっと軽めのお遊び曲やハードロックを入れてきたりすることが多いけど、今回の2曲はいずれもど真ん中ストレートで攻めてきてしかもそのキレもかなりのものだと思う。シングル買う価値ありました。