ひみつスタジオの感想(2)

後半でーす。

さて「オバケのロックバンド」でバーンと終わってここから怒涛の後半戦。

7.手鞠

個人的ベスト・チューン。

いやこれをベストと言ってしまうとロックバンドである作り手からはがっかりされるのかもしれないが・・・。けどこの曲はほんとに初聴で射抜かれました。なんだこの曲!?と。シティポップ的なまさに跳ねるような爽やかさ、この初夏の空気にぴったりの体を駆け抜ける清涼感。圧倒的です。

歌詞はなかなかロックだ。けど「手鞠」って結局何なんだろうな。なんとなくイメージしたのは、俺はずっと1人でいいんだとつっぱってたら、ひょんなことから子供が産まれて、その可愛い子供を愛でているような感じ。小動物か何かかとも思ったけど、「バレバレの嘘に笑う」は人間っぽいしな。

娘が産まれたばかりの自分には刺さりまくる曲だ。うちの子はまだ「弾むように踊る」歳じゃないけど。

8.未来未来

これもすんごい曲です。手鞠からの流れが最高。実はこの2曲ばかりリピートしてます。この2曲を聴かない日はありません。

いきなり民謡のような女性の声が入ってきて、そこからNadeNadeボーイを思わせる一本調子メロディが続き、さらに打ち込み風ディスコ調のサビがばーっと広がるカタルシス。こんなパワフルな展開の曲は聞いたことがない。スピッツ、まさか30年超えてこんな曲を出してくるとは・・・。

一方で歌詞をよく見てみると、鬱屈感がものすごいんですよ。石をラッピングして送るとか、優しいんだか狂ってんだかわからんしな。サビで未来未来でこじ開けるかと思ったら、今で精いっぱいで余裕ないから嫌い嫌いってなんなんや・・・。

まーでもとにかく痺れる曲です。この2曲の存在だけでもひみつスタジオは名盤と確信できる!

9.紫の夜を越えて

シングル曲。この流れで来ると、この曲がいかにスタンダードなナンバーかということがわかる。そしてどれほどいい曲なのかということも。もうねえ・・・切実な感じがぐっとくるんですよ。これ。

コロナ禍真っただ中にリリースされ、先行きの見えない中、さあみんなで頑張って超えていこうぜという、わりとはっきりした意思や希望を感じた曲。夜のニュースのタイアップでしたが、ヘビーメロウといいスピッツの音楽は結構情報番組に合うのかな。ファンとしては毎日聞けて嬉しかったぞ。

10.Sandie

このアルバムの中では、メインを張る曲ではないのかもしれない。刺身の褄のような感じか。けど、紫の夜~とは真逆の、この明るくて跳ねた感じがイイ!

これもまた歌うたいとしての自分自身の心境を歌ってるような感じなんだよな。地方から都会に出てきた人みたいなイメージもある。凍れる向かい風って北海道の人?かと思いきや新宿によく似た魔境、とか唐突に地名が出てくるしな。

11.ときめきpart1

映画主題歌。予告映像見た時からこれはいいなあと思ってたけどやっぱいいね。映画のEDで流れてきたらぐっとくるだろうな。いつものスピッツ節なんだけど、やっぱこれがスピッツだよ。小さな生き物以来ストリングスは使わないことにしたはずだけど、久々に使ってるね。

「幸せはいつだって届かないものだと」・・・切ないけど響く・・・。それでも白いページを開いてこの先を歩いて行こうよって、明るい希望を感じるよね。

part1ってのはまあ、特に意味はないけどツッコミ待ちなんだろうな。三日月ロックその3みたいに。「ときめき」だけじゃインパクトが弱いってのもあるだろうけど。

12.讃歌

この曲は絶賛してる人も多いんだけど、いまいちわかんないんだよな。

確かにじーんとくる感じではあるんだけど、眠くなってしまう。まあ個人的にバラードがあまり好みではないってだけってもあるが。。今後も何度も聞いてれば印象変わってくる可能性はあります。醒めないのラス前の「雪風」も、当初ピンとこなかったけど今かなり好きなんだよな。

13.めぐりめぐって

「秘密のスタジオ」という歌詞があることから、事実上のタイトルチューンと言っていいのかな。歌詞聞いたときタイトル回収か!と思った。初めてのパターンだ。

コロナでライブもなくなり、秘密のスタジオでじっくり作る時間ができた・・・という意味のアルバムタイトルだったことはこの曲を聴くことでわかる。パワフルなロックチューンで、ファンに向けたメッセージをそのまま歌詞にした感じ。醒めない以降こういう曲増えたなあ。嫌いじゃないです。

もともとは1曲目の予定だったらしい。1曲目でもよかったと思う。ただこれが冒頭に来るとアルバム全体がだいぶやんちゃな印象になるだろうな。

 

 

超名盤「醒めない」の次の「見っけ」がちょっと物足りなかったのだけど、今回はしっかり期待に応えて醒めないに匹敵するくらいの作品を作ってくれたと思います。ありがとうスピッツ